こえ

おかあさんのこえ

というものがあることを思いだした。

少女だった彼女の声は、
炎のように泣きじゃくる、あかんぼうを呼ぶとき、とてもとてもおかあさんのこえだった。
おかあさんのこえは今まで、彼女がただの少女だったときにはきいたことのない声だった。
それが、今日、確実におかあさんのこえになっていた。

おかあさんのこえはすごい。
そして愛されることを全力で求めるあかんぼうもすごい。
そこには嘘なんてひとかけらも見つからなかった。
ただただ
純粋に 求めて と 与えて だけだった

おかあさんのこえをきいたとき、
戦場で命を亡くすときに
「おかあさん」
というコトバをよぶひとが

たくさんいたんだという話を思いだして、

べてが繋がったような気がして
帰り道で泣いてしまった。

あの声はすごい。
ほんとうにすごい。
みんな、きっと知っている声。
そして、帰ることのできる声。